2011年01月11日

MULTICOLORED DIRECT BOX "MDB-1"

久しぶりのDIの新作です。
究極にクリーン系なのは既に作ってあって、
だぶじゃずでのライブや録音で大活躍中なのですが、
今回はアーバン油ファンクバンドのゴマアブラのハヤシくんに頼まれて、
音にいろいろ味付けできるのを製作してみました。
ゴマアブラ、いいバンドなので動画だけでもチェックしてみてくださいね☆


mdb1_1.jpg

トランスでバランス変換するタイプのDIです。
クリーンとドライブの2チャンネル構成で、
ドライブのほうはEQやらなんやらいろいろ付いてて、
倍音の量(=歪み具合)から高低域のバランス、ピークの位置まで、
いろいろいじれます。面白いです。

・レイアウト

うちの作品にしてはつまみとスイッチが多めです。

つまみは左から、

・ハイカット 右端でフラット、左に回すほど高域が落ちるパッシブフィルター。
・ローカット 入力段での低域のカットオフ周波数を決定します。右端でほぼフラット。
・レベル   プリアンプ後、トランス前の位置に入ってるボリュームです。
・ゲイン   ドライブチャンネルの歪み(倍音)の量を決定します。

上段右端のON-OFF-ONスイッチはローパスフィルターの切り替え。
真ん中でオフで、P1(上)、P2(下)の順にカットオフ周波数が下がります。
カットオフ周波数付近でピークが立ちますので、
不要な高域落としと同時に音色にキャラクタ付けする狙いもあります。

下段のスイッチは左がグラウンドリフト、
右がクリーンとドライブのチャンネル切り替え。

インプットは右側下のフォーンで、その上はプリアンプ後の信号出力。
アンプとかに繋ぎます。回路の都合でハイインピーダンス入力専用。
左側にXLRコネクタのDI出力があります。


・使い方

クリーンチャンネルはインプットに入れてDIから出すだけですが、
多少のゲインを持たせたディスクリートアンプを通りますので、
高調波の歪みが加わって若干明るく、輪郭のあるサウンドになります。
さらに出力段で、トランスによる若干のカラーリングが加わります。
ドライブチャンネルよりも入力インピーダンスを高く設定してるので、
よりくっきりはっきりなサウンドが得られます。

ドライブのほうはちょっと面白いですぞ。
ゲインのつまみはいわゆる歪みペダルみたいにはききませんが、
クリーンな領域からごりごりとした歪みまで、
じっくりじわじわと歪んでいく仕掛けになっております。
例えばゲインを5〜6くらいにした場合、
アタックがちょこっと潰れて歪んで倍音が出て音が太くなり、
サステインも出たような気がする・・・
という、「テープに録音してみた」とか
「真空管DI通してみた」とかそんな感じのサウンドが、
つまみひとつでコントロールできちゃいます。

ゲインを全開まで上げるとごりごりしたオーバードライブサウンドに。
高域も低域もぐいぐい出てきますのでそのままだとライン臭いですが、
ハイカットのつまみを2くらいまで下げ、
LPFのスイッチをどっちかにしてハイMIDにピークを立てると、
気分はまるでampeg。

EQは全部パッシブなので極めて自然なかかり具合です。
ローカットは歪みの前段に入っているので、
ローを絞ることで歪み発生回路の負荷を抑えることができます。
具体的には、低域の歪み方を抑えて中高域の抜けをよくしたり、
ローエンド控えめ&倍音多めな70年代風サウンドにしたり。
ハイカットは歪みの後段なので、
発生した歪みの角を丸め、自然な太さを演出できます。
LPFはP1でハイMID、P2でローMIDにピークが作れますので、
アンプを通したようなサウンドを狙えます。
これらと楽器本体のボリュームとトーンで、
それはもう魔法のように多彩なサウンドが出てきます。

・出力はトランス

これがこいつのサウンドの肝で、
パッシブでも使えるLundahl LL1530。
これにがっつり増幅した信号を突っ込むことで、
トランスでも歪みが加わります。
音量を接続先で調整するようにすれば、
ゲインは勿論レベルつまみも倍音の量を制御するつまみに。
ふくよかなローエンドの広がりもトランスならでは。
10k:200Ωのトランスなのでゲインは減衰しますから、
トランス入力のマイクプリに接続するか、
セルフノイズの少ない高品位なマイクorラインアンプに繋いでね☆

・電源

なんと、ファンタムで動きます。
あとはセンターマイナスのDCアダプタでも動きます。
ライブの現場でも使えるとなるとファンタムあったほうがいいよねー、
ということでファンタムでもばっちり動作する回路設計にしました。

アダプタでも使えるので、
マイクプリのないスタジオや自宅での使用も問題なし。
高次倍音がかなり加わるので、中域から抜けてきます。
音量をかなり上げても、EQをどれだけいじっても音が抜けない・・・
なんて時にこれで解決。する。かも。

mdb1_2.jpgわかりにくいけどLEDがつくぞ!


・まとめ

実はプリアンプ部分は結構前に思いついてて、
ギター用のブースターのつもりで2台だけ組んであったんですが、
ハヤシくんの依頼で「ベースのほうがいけてんじゃん!」と気づき、
若干アレンジを加えてトランスと組み合わせ、
今回のような仕上がりとなりました。
早速レコーディングで使うそうで・・・どきどき。

これ、アコギのプリアンプとしても優秀だったりします。
ピークをスカッシュ+倍音増加+ぬるいEQのおかげで、
ライン臭さがうまいことなくなります。
最初にお試しな感じで1台組んで実験してたところ、
その場に居合わせたガットギター弾きの人が
それをそのまま持って帰るほどでありました。

トランスは同じのがあと一個だけ手元にあるので、
それ使って同じの組み立てて、さらにいろいろ実験しようかと思います。
今回は使わないッスってことだったんで割愛しましたが、
プリアンプ部分を完全にバイパスするパッシブモードとかもあると、
現役録音エンジニアさんとかには喜ばれるかもしれません。

以上、完成したてのDIのご紹介でしたー。

posted by たー at 02:42| Comment(13) | 楽器用機材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月07日

再録:ギターをiPhoneに直接繋ぐプリアンプ(iRig的な)の作り方

guitar_to_iphone2011.jpg

/*
(2011.1.7追記&回路図修正)
メーカーブログ再立ち上げ記念に、
2010年にアップした
「iPhoneのイヤホン端子にHi-Z出力(パッシブギターとか)を繋ぐプリアンプ」、
(IK MultimediaのiRig的な動作をするプリアンプ)
の製作記事を転載します。
転載ついでに回路図に書き忘れてた抵抗を一本だけ書き加えました。
2つのFETの間の、赤線で書いた100Kの抵抗がそれです。
なくても動きますけど一応あったほうがよいです。
*/


先日書いたiPhoneにギターを繋ぐプリアンプの回路図を公開します。
amplitube for iPhoneにギターを接続するためのものです。
メーカーのIK multimediaから「iRig」というインターフェースが出てますが、
これを買うまで待てなかったので作ってしまいました。
「iRig」と同じ機能ではありますが、
iRigは持ってないのでiRigの中身をコピーしたものではありません。
限られた環境で動くように作ったらこうなりました。
iRigもたぶん似たような中身だと思いますけど。

iPhoneのマイク端子にパッシブのギターを直接接続するのは、
インピーダンスが合わないのと、
コンデンサマイクを動作させる直流電圧がかかってますので、
ちょっと厳しい感じです。
このプリアンプを間に挟むことで、
インピーダンス変換+バッファした信号を入力できます。
電源はiPhoneの電源を使用しますので電池もアダプタも要りません。


自分用に設計した非常に適当なものですので、
いろいろ突っ込みたくなるところもあるかと思いますが、
まぁそこは動けばいいってことでご容赦くださいませ。

(2010.6.28追記)
amplitubeをiPhoneをコンセントから充電しながら使用しますと、
電源からのノイズを食らうことがあるようです。
使うエフェクタの数にもよるでしょうが、
フル充電なら2時間くらいは余裕でいけそう。
それ以上の長時間になる場合は使うときだけ充電しないとか、
電池式のバッテリーパックなどを併用するとよさそうです。


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さて、中身の解説です。


内容は語るほどのこともないほどシンプルな、
FET2つだけのインピーダンス変換機です。

iPhoneのマイク端子(4極プラグの根っこの端子)には、
エレクトレットコンデンサーマイクなどを動作させるためと思われる
1.7Vのバイアスがかかってます。
このバイアス電圧を電源にしてFETを動作させます。

電源が1.7Vとかなり小さいので、
安易に0バイアスで動かそうとしたらちょと動作が怪しかったので、
入力に電源を半分に分圧したバイアスをかけてます。
入力に入ってるコンデンサでバイアスをカット。
ジャックからのギター信号を初段のFETに入力して、
その出力をそのまま2段目に突っ込んでます。
1段だけでいけるかと思ったのですが、
信号が不安定だったので2段にしたら安定したので採用。


入力ゲインは、
amplitubeにはレベルメーターがなく入力レベルがわからないので、
ピーターソンのストロボチューナーアプリのメーターで調べました。
自分の普段使ってるパッシブのギターですと、
弦を6本ばーんと鳴らしたときにメーターの赤(1番上)が
点灯するくらいのレベルだそうです。
ピーターソンがオーバーしてないって言うんだからOKでしょう。

(2011.1.7追記
この記事を見て製作していただいた皆様のコメントを読ませていただいたところ、
このままだとやっぱりちょっとゲイン高めみたいですね。
赤字の100Kの抵抗をボリュームにしてもいいかもしれません。


信号レベルも十分ですし、入力でクリップするとよくないので、
ゲインの増幅は特に行わないことにしました。
最初はしてたんですが、シングルコイルでも十分な音量が出てるのと、
ベースつないだらばっちり歪んだのでやめました。。。



回路図の一番右側の、
iPhoneへの出力に入っているバイポーラのコンデンサで、
iPhoneからの電圧をブロックしています。
今回は手持ちのMUSEのバイポーラ 47uを使いました。
両極なら銘柄はなんでもいいと思いますが、
iPhone側のインピーダンスがかなり小さいようなので、
低域を確保するには容量が大き目のほうがいいかと思います。

使用したFETは2SK170のGRランク。
手持ちと好みでセレクトしておりますので、
2SK30Aとかでもいいと思います。
10uのコンデンサはタンタルです。
サイズの都合もありますが、弦物にはいい仕事します。
抵抗はDALEですが、なんでもお好みでどうぞ。

アプリ側のサウンド処理がかなり激しいので、
部品ごとの音はあんまり出てこないような気もします。
でもアンプのゲインを上げてくとノイズがかなり増してくるので、
ノイズを減らす意味では質のいい部品を使うとよいでしょう。


一応実装図?も載せておきました。
ギターを入力するスイッチクラフトのボックスジャックに、
横幅を合わせたらこういう窮屈な配置になりました。
このまんま作って基盤をぎりぎりで切り落とせば、
ボックスジャックに一体化した感じのプリアンプになります。
外付けのブレイクアウトボックス的に製作する場合は、
ケースはジャックが収まれば自由に選べますから、
ここまでぎちぎちにする必要はありません。
適当に配置しなおして製作してください。

(2011.1.7追記
この実装図だと赤字の抵抗繋ぐ余地がないですね・・・
うまいことやっていただければ(^^;
)

本家のiRigは出力端子がステレオミニだけですが、
アンプに接続することを考えると、
同時にフォーンのアウトもあると便利かと思います。
iPhone版amplitubeのプロセッシングは全てモノラルで、
フィードバックを抑えるモードの際には、
左右を逆相にしてセンター低位のゲインを押さえる仕様の模様。
つまりは出てくる信号自体はどんな設定だろうと左右とも同じなので、
右か左の出力端子にフォーンジャックを接続すれば、
問題なく使えるということになります。

ヘッドフォンでの使用も出来たほうが当然いいと思うので、
右か左の出力端子をスイッチ付きフォーンジャックにつなぎ、
フォーンが刺さってないときはステレオミニになるように
結線しとけばばっちりです。
これなら変換プラグを持ち歩く手間もありません。


最後にiPhoneに接続する4極ミニプラグ(ステレオミニの端子がひとつ多いやつ)の
端子配置について説明します。
各端子の機能は先端から順に、

・左チャンネルのヘッドフォン出力
・右チャンネルのヘッドフォン出力
・アース
・マイク入力

となってます。
4極ミニプラグは秋葉原の電子部品屋(千石電商とか)で買えます。
プラグ本体が小さいのではんだ付けが少々難しいですが、
失敗してもいいように何個か買っておけば大丈夫でしょう。
ケーブルは3芯シールドの細いのをトモカとかラジオストア入り口とかで。
あんまり太いとiPhoneのジャックに負担がかかるので、
細くて軽いものがお勧めです。


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といったところでしょうか。
製作は難しくないので自作の練習にもいいですね。


製作に関するご質問などにはお答えしかねますが、
致命的な間違いのご指摘は歓迎です。
もしどうしても聞きたいことがある場合には(ないと思いますが)、
僕は西荻窪だぶじゃずにわりといつでもいますので、
セッションの日にでも来ていただけたら軽く説明できます。
事前にご連絡いただければ確実です。
ついでにセッションで遊んでいっていただければ(^^



部品点数もほとんどないですし、
よーく確認しながら作ればまず一発で動くと思います。
完成したらamplitubeをお楽しみください☆
かなりいい出来のアプリですよー♪

posted by たー at 15:42| Comment(3) | 楽器用機材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする