2012年12月16日

Fender American Standardのトラスロッド交換

フェンダーのアメスタって、
ヘッドのブラウンエッグの真ん中に開いてる穴から
トラスロッド調整しますよね。

1/8インチの六角レンチで回すのですが、
一般的なサイズの六角レンチ( ¬ こんなの)だと、
短い側でぎりぎり届くぐらいのところにロッドナットの穴があります。
ぎりぎりなので、ぐいぐいやると大体ブラウンエッグ周りの塗装に
傷がつく羽目になります。

付属品の2辺の長さが同じで長めのやつ
(  こんなの)だと傷つけずに回せるんですが、
結構みんななくしちゃうんですねー。

で、付属品があったとしてもロッドナットの六角穴が小さくて浅いため、

↓こんなのが入ってます

写真 2.JPG

一般サイズだとぎりぎりなことも相まって、
アメスタのロッドナットを痛めてしまうことってわりと多いのですよ。
グレード的にもネックがそこまでしっかりしてないものが多いので、

ロッドを強く締めこむことが多い→ロッドナットに負荷がかかる
 →回しにくくて穴が浅くいのでナメりやすい

となり、怖くて強気でネック調整できない個体をよく見ます。


これまで自分も消極的に対応してたのですが、
今回機会があってアメスタのストラトのロッドナット交換にチャレンジ。
無事交換に成功しました。

写真 1.JPG

埋めてあったウォルナットをきれいに除去して、
その奥にあったトラスロッドナットを取り外し、
別のトラスロッドナット(ブレット型)を取付け。
六角レンチをしっかりホールドしてくれるのでネック調整も余裕。
この後元の見た目っぽく埋め木して仕上げますた。


ちゃんと交換できるのがわかって一安心。
アメスタのロッドナット壊しちゃって、
楽器屋さんに「これはネック交換だねぇ」なんて言われて
泣き寝入りしていた方がいらっしゃいましたら、
ぜひうちへどうぞ☆

posted by たー at 22:43| Comment(0) | 修理ログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月27日

トランス式のステレオDI自分用

IMG_0125.jpg

いつぞやワンマンライブのPA仕事をするにあたり、
セッティングを考える上で必要になったので急ぎ製作したものです。

Pf&Voのバンドさんだったのですが、
ピアノのモニターをPAに頼らずにできるようにアンプを持ち込み。
手元のピアノモニター用アンプに、
ステレオのピアノをモノにまとめた信号を送りつつ、
高品位なステレオDIとして卓にも信号を送れるように設計。

ボーカルは当然でっかく返すのですが、
同じスピーカーから歌と一緒にピアノを返すと聞きずらくなるのと、
「自分のピアノのモニター音量を手元でいじれる」というのは
演奏する上での安心感に繋がり、演奏者のストレスを減らせます。

せっかくのワンマンですし、
最大限のパフォーマンスを引き出せるように配慮した結果、
どうせなら音がいいのを作っとこう、ということに。
PA仕事のために機材設計するエンジニアもそうは居るまい(w



機能をまとめるとこんな感じ。

・DI出力+アンバランス出力が二系統のステレオ仕様
・アンバランス出力にもDI出力と同等のプリアンプ搭載、
ラインドライバーとしても一級品
・スイッチでアンバランス出力二系統をモノラルに結合、
CH1から出力可能
・DC9V駆動、内部で±15Vに昇圧

モノラルに結合するのはすごく簡単にやってるので、
ハイインピーダンス入力に入れないとゲイン落ちしますが、
前提が楽器アンプ&自分で使うなのでまぁいいか。
市販するとしたらもう一工夫必要だけど、
スペース的に厳しいかも(w;

サウンドはもちろん最上級です☆
単体で作ってるHD DIとは違うオペアンプを使ってますが、
こちらのほうがハイファイさでは劣るものの、
中域に音楽的な厚みが加わってライン臭さがなくなります。
電子ピアノのアコピの音がすごく色っぽく化けたり、
エレキバイオリンがマイクっぽくなったり、
レコーディングで上物に一味つけたいときに効果的。
エレキのアンプシミュにもよいです☆


PA仕事終わったらラベルちゃんと作ろうと思ってたのですが、
自分しか使わないので結局今もこのままです・・・
自分しか使わないならわかればいいところはありますよね。ね。


posted by たー at 00:03| Comment(0) | 楽器用機材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月26日

自作真空管コンデンサーマイクまとめ

「レコーディングで歌録りはどこのマイク使ってるんですか?」
とたまに聞かれますが、ここ最近のメインマイクは自作のもの。
真空管式のコンデンサーマイクで、
初めて歌録りをする方はたいていびっくりして貰えるサウンドです。

製作過程でちょこちょことブログに記事を書いていたのですが、
メーカーブログの方になんも載せてなかったので、
まとめ記事としてアップしておきます☆

このマイクで録ったボーカルのデモ的なものはこちら。
マイクのデモというか、
録音・MIX・マスタリングまでを手がけた作品のデモなのですが、
なにかの参考にはなるかと(^^;

音源作品及び自作真空管マイクの音デモ


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Image112.jpg

グリルと外側の円筒が外れてる組み立て直後の写真。

マイクカプセルにAKG C12スタイルのを使ったのと、
コンデンサーにWIMAを使ったせいか、
なんとなくドイツっぽいハイファイさ。
ちなみに球はGE6072緑のNOS、
抵抗はDALEのRN65。


Image113.jpg


早速録音テストをしてみましょう。

▼第一印象

 ハイ落ち皆無のハイファイサウンドながら、
 中域低域の掴みが非常によくちょいオフくらいでも距離を感じさせない。
 (当然生音をしっかり鳴らす必要はありますが)

▼とりあえずドラムを録ってみた

 ドラムセットの正面に立てて自分でドラムを叩いて録音。
 スペアナ上ほぼフラットな拾いぶり(笑)
 キックの皮のしなる感じや小口径スネアの胴鳴りなど、
 ディティールも非常によくキャプチャーしている。
 シンバルの高域にも厚みがあり、ぺらぺらした感じはない。
 全帯域にわたりフォーカスがぴたりとあっていて、
 濁りや歪みは感じないが、
 フラットすぎて逆に少し冷静になっちゃう音。

▼次にアコギ。

 真空管があったまってきたのか、
 より温かでリッチなサウンドに変化してきた。
 次はビンテージ系のとか思ったが、
 わざわざ作らなくてもよいかも(w
 
 ストロークはウォームアップが進んだせいか、
 低域の厚みが増し、かなりの迫力。
 セッティングはジョイントあたりを20cmほど離して狙ったが、
 ストロークのときは少しオフめにしてもよいかも。
 数カ月張っている死んだ弦だが、高域の輝きもなかなか。

 次はアルペジオ。
 アタック、サスティン、各弦の分離、文句なし。
 トップ板のレスポンスからネック裏の親指の動きまで、
 あらゆるディティールを鮮明に拾う。
 正直、すごいマイクかも。

 指でボサ風パターン。
 低域の掴みが非常によいので、ベースラインが明確でよい感じ。
 真空管コンプがごく微妙に効いているようで、
 各帯域の音量差があまり感じられず、
 凸凹のないとても聞きやすいサウンド。
 ストロークより音量が結構下がるので、
 マイクプリのゲインを上げようかと思ったが、
 掴みがよくて自然に前に出る録り音なので、
 単体で聞いているぶんにはストロークも指弾きも大きな音量差は感じない。
 (波形でみると当然ストロークの方が大きい)

 それにしてもセルフノイズが少ない。
 感度がよいのでエアコンその他のノイズは入りやすいが、
 録れレベルの低い部分をぐぐっと持ち上げても、
 セルフノイズの前に冷蔵庫やパソコンのノイズが上がってくる。
 ビンテージのよい球を入れた甲斐があったかも?


▼軽く声も録ってみた。

 低域から高域までフラットに、しっかり拾う。
 胸あたりまで響きを下げてもしっかり入り、
 スペアナには綺麗に倍音成分が並ぶ。
 ノイズが少ないので見通しがよくオープンなよいサウンド。
 気持ちざらつきとコンプ感が感じられ、
 アコギのときと同じくレベルのばらつきの少ない聞きやすい音。
 子音に厚みがあるので痛くならない気がします。
 女性ボーカル録ってみたい。


※このとき録ったデータはどっかいっちゃいましたorz


Image114.jpg


中身の部品についてはちょこっと書きましたが、
重要なコンデンサーについてはいろいろ試行錯誤しました。
で、もともと付けてたビシェイのから換えたのがこれ。

auricap
http://www.ritlab.jp/shop/product/parts/condenser_audience.html


vishayのも別段悪くはなかったのですが、別段よくもなく。
真空管のエージングが進むにつれ、
中低域の厚みがなんとなく気になってきたので、
ためしにと思ってよりオーディオフィル傾向のこれに変更。

容量が2.2から1に減ったのでどうかと思ったが、
帯域的にはまるで問題なし。うわさどおりの透明感と高解像度。
現在もこのコンデンサーがついてまして、
エージングが進んで新しさゆえのハイ上がり傾向は落ち着き、
ますますいい感じです。


http://www.sweetwater.com/store/closeup/Bottle--img_interior2.jpg


参考物件として、有名なblue社の最上級モデル、
「bottle」の中身写真 from Sweetwater.com。

WIMAのコンデンサー、
電源バイパス用と思われるどこぞのフィルムコン、
blueのラベルの巨大なフィルムコンデンサー(5uF!)、
blue自社製のカスタムトランスが見えます。

真空管マイクの中身はだいたいこんなもので、
それほど複雑な構造ではありませんが、
シンプルゆえにチューニングが難しいってことにもなります。


真空管マイクの部品で重要なのは3つ。

・真空管
・出力トランス
・真空管出力とトランスをカップリングするコンデンサー

これに加えてマイクカプセルの4点ですな。
カプセルはメーカーによってどの程度差があるのか不明ですが、
少なくとも今つけてるペルーソのは普通によいし、
もともとついてた中国製とはかなり差があります。
でもこれがノイマン製だから超いいか?というと微妙かと思われ。

マイクカプセルは、
構造的にはぽこぽこ穴の開いた真鍮の円盤と、
同じ径の真鍮製のリングの間に、
金を蒸着したうす〜いフィルムをはさみ、
円盤とフィルムそれぞれに電極をつけたもの。
円盤とリングはねじ止めで小さいねじがたくさんついてます。
こんなもんを手作業で作るのは嫌だ。

で、マイクを作る際に選べるパーツとしては、
マイクカプセルはあんまり選択肢がないので除外。
ペルーソのとかでいいんじゃないかと。

その他3点はいろいろ選べます。

・真空管
 良質なビンテージものが手に入ればそれでよしですが、
 当然安定的な入手は難しいです。
 高級マイクメーカー各社がどうしてるかというと、
 現行で作られているものを選別して採用している模様です。
 自分で使うならそんな必要はないので、
 評価の高いビンテージマイクにまさに採用されている球を
 使うことも可能です。今回はGEの古いやつ。
 でもあんまり市場に出回ってない・・・orz

・出力トランス
 ルンダール、ジェンセン、シネマグなど、
 ハイエンドメーカーのものが数千円で輸入可能。
 だいたい受注生産なので時間はかかりますが、
 質的にはトップクラスのものが普通に買えます。

・カップリングコンデンサー
 これもオーディオグレードのものが通販で買えます。
 いまのところAuricap 1uを採用。


といった感じ。
部品の質はまったく問題なくいいものが使えるのですが、
問題はやはりサイズです。
写真を見てもわかるとおり、
bottleは非常に巨大なトランスを積んでおり、
フィルムコンも見たところ直径2cm、幅4cmくらいの
相当に巨大なものが採用されております。

5uFって容量でこのサイズってことは、
おそらくはビシェイのOEMものかと思われますが・・・
ビシェイのは他のオーディオグレードに比べて多少小さく、
今回のにも最初は2.2uFのビシェイのフィルムコンを積んでました。
今はよりハイファイなauricapの1uFなので、
ビシェイのほうがローエンドはかなり多かったですが、
球の傾向が同じくロー方向だったので、
すこし低域がだぶつく感じがあったのでAuricapに交換した次第。
最近の球だったらビシェイのほうがはまるかも?



今回自作したマイクのベースにしたapexのボディサイズでは、
直径2cm、幅3cmぐらいが限界で、
ここまで巨大な部品は入りません。
オーディオの世界ではサイズと音質はトレードオフなので、
部品のサイズに制限がある、ということは、
多少なりと音質にも制限を与える場合があります。

まぁトランスはここまででかくなくてもよいとして、
出力フィルムコンの巨大化はなかなか避けきれない問題です。
チューブマイクは電圧が百数十ボルト、
場合によっては200ボルト近くかかるので、
耐圧がそれ以上でないと使えません。
容量もそれなりに(数uFくらい)必要になります。

音質上はフィルムコンデンサーが非常に有利なのですが、
耐圧と容量が大きくなるとサイズが馬鹿でかくなりますので、
apexのボディでは採用できないものもありました。
auricapは音質も評価が高く、なおかつ小さいので採用。
でもこれでもぎりぎりでした。

省スペースで音質も良いWIMAを使う手もありましたが、
どうも積層もののコンデンサーは空間表現が苦手というか、
スパッと明るく張り付く感じの音はよくても、
奥行きを感じさせる方向の音つくりには向かない気がします。
歌などのアタック勝負でないものを録るマイクに使うには、
できれば良質なフィルムコンデンサーを使いたいところ。
それでも出力に使うのが精一杯のスペースでしたが・・・



○後日談


ちょろちょろ録音したりしてみてますが、
これまでの一張羅であるMilabのVIP50との音質比較では、

・ノイズの量
・マイクから離れても輪郭のある音像を拾えるか
 (位相特性がどの程度良いか)
・音の厚み(拾ってる倍音の量?)
・オケからの抜け方

などなど、どれをとっても自作チューブマイクの勝ち。
もちろんVIP50にもよいところはありますが、
(弦もののよい意味で自然で枯れた味わいは他にはない)
ボーカル録りにおいてのファーストチョイスは
自作マイクになりそうです。

ちなみにVIP50は本体の実勢価格が19万円、
専用のショックマウントが確か2〜3万しますので、
合計22万くらいの品物。
価格のわりに非常に優秀なマイクですよ。


このたー印のチューブマイク、
今後もよい真空管(今回はGE緑文字)さえ手に入れば作れます。
20万クラスのマイクと真っ向勝負で余裕で勝利ですから、
数十万クラスと比較出来るグレードであることは保証します☆
回路は1から組んでるので微妙なチューニングもできます。
世界に一本のチューブマイクがほしくなったら、
ぜひご相談ください(^^
posted by たー at 17:20| Comment(0) | レコーディング用機材 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする